Ⅰ.研究会の趣旨

埼玉県学童保育連絡協議会は、学童保育(放課後児童クラブ)の実践と運動にとって重要な課題・問題について学習・研究を行う場として、毎年9月に「合宿研究会」「日帰り研究会」を開催してきました。

*今回の研究会のねらい*

    1. 新型コロナウイルス感染症のもと、3月以降今日まで、学童保育は、働く親と子どもたちの “ライフライン ”としての役割を果たしてきました。「三密」が避けられない環境の下で、指導員(放課後児童支援員等)は、感染症防止と子どもの生活保障の狭間で緊張した保育を強いられてきました。
    2. この間の保育の実際を振り返り、コロナの下で子どもと親に保障してきたこと、保育内容や保育の工夫(休所児童への対応を含めて)、コロナ禍でできなかったことを確かめます。
  1. 「第2波」突入とも言われる状態の下、コロナの収束は見えず、今後数年間はコロナとの共存状態( withコロナ)での生活や保育を強いられることが想像されます。未知のウイルスとの関係では「正しく怖がる」立場が大事です。コロナそのものについての正確な理解を前提としつつ、発達過程にある学齢児の生活と成長の権利から考えてあるべき保育のあり方の探求が求められています。コロナについての正確な理解と併せて、今後、 withコロナの下で保育(育成支援)をどう進めていくかを学び合いたいと思います。また、学校との共同・連携のあり方についても考えたいと思います。
 
 

本日のスケジュール

司会:木村徹(埼玉県学童保育連絡協議会事務局長)

13:00  1.開会:主催者あいさつ 長倉香(埼玉県学童保育連絡協議会会長)

13:05  2.趣旨説明15分 森川鉄雄(埼玉県学童保育連絡協議会事務局次長)

13:20  3.パネルディスカッション 120分*途中休憩10分

15:40  4.基調講義 75分「新型コロナウイルスとは。子どもへの対応の留意点」

講師:峯 眞人氏(医療社団法人自然堂峯小児科院長、日本小児科医会理事予防接種・感染症対策担当)

16:55  事務連絡等

17:00  閉会

 

1.趣旨説明15分

 
参考資料
①新型コロナウイルス感染症関連 ①国・県の動き②出席児童割合③全国連協・県連協のとりくみ(2月27日~今日)※別紙01Excel表
②「指導員アンケート」のまとめ(『日本の学童ほいく』誌2020年9月号「緊急特集「『新型コロナウイルス感染症』学童保育の生活づくり」)※別紙02
③指導員(放課後児童支援員)の生活づくりを考える際のよりどころとなる理念・考え方・根拠(※4㌻)
「国連・子どもの権利委員会 新型コロナウイルス感染症に関する声明」(2020年4月8日)別紙03
⑤「日本子どもを守る会の声明 コロナウイルス禍から子どもを守り育てるために学校の再開にあたって」(2020年5月31日)※別紙04
⑥事務局提案「 withコロナ時代の生活づくりを進めるに当たって必要な条件、私たちのとりくみ」(※5㌻)
⑦富山市立学校新型コロナウイルス感染症対策検討会議だより※別紙05

 

2.パネルディスカッション120分

■コーディネーター 新井利民氏(立正大学社会福祉学部准教授、 北本学童保育の会うさぎっ子クラブ代表理事)

社会の様々な機能が停止・休止する中で、子どもの豊かな生活を支える重要なインフラである「学童保育」は何ができるか。ことし3月以降の様々な立場の経験をもちより、「できたことできなかったこと」「すべきだったこと」「してはならなかったこと」などについて総括し、今後の活動を展望したいと思います。

■パネラー報告者と報告の視点

 

①佐藤幸恵氏(富士見市南畑放課後児童クラブ指導員) レジュメ1 紙芝居

ⅰ.コロナ禍の中で、学童保育指導員が感染症に気を配りつつも子どもの立場で何を大事にされてどのような実践をされてきたか/役所との連携や取り決め(開所状況、学校との関係)がどうだったのかⅱ.今後もコロナが続くと想定される中で、これからの学童保育に求められると考えていること、生活づくりで留意や努力したいこと。国・自治体への要望、県連協への要望などもあれば

②山岸雄介氏(南畑放課後児童クラブの保護者)  レジュメ資料

ⅰ.コロナ感染症という厄災の中で我が子の育ちや生活についてどういう心配や、同時に学童保育と指導員への期待や願い。同時に保護者ないし保護者会として学童保育を支援してきたことⅱ.今後もコロナが続くと想定される中で、これからの学童保育と指導員への期待・願い同時に保護者ないし保護者会として努力したいこと。国・自治体への要望、県連協への要望などもあれば

③河野伸枝氏(飯能市原市場かたくりクラブ指導員)※佐藤さんと同じ レジュメ資料

④上野達也氏(皆野町立三沢小学校教諭) レジュメ資料

ⅰ.コロナ禍の中で、感染症に気を配りつつも子どもの立場で何を大事にされてどのような実践をされてきたか一方、学校や教育委員会の実態、(可能であれば)学童保育と学校とで連携できたことⅱ.今後もコロナが続くと想定される中で、これからの学校教員・教師に求められていると考えていること。国・自治体への要望などもあれば

 

3.基調講義「新型コロナウイルスとは。子どもへの対応の留意点」75分 レジュメ資料

講師:峯 眞人氏(医療社団法人自然堂峯小児科院長、 日本小児科医会理事予防接種・感染症対策担当)

コーディネーター・報告者・講師の方々紹介

■新井利民

①研究者(大学)としての経歴埼玉県川口市出身。県立伊奈学園総合高校ラグビー部卒、立命館大学産業社会学部卒。日本社会事業大学大学院修士課程修了。岩手県旧湯田町(現西和賀町)の社会福祉法人湯田町社会福祉協議会勤務、埼玉県立大学保健医療福祉学部教員を経て、立正大学社会福祉学部教員/担当授業は、地域福祉論、社会福祉計画論、ソーシャルワーク実習など。社会福祉を専門にした背景は、大学在学中の阪神淡路大震災被災地や農山村地域の社会調査活動がきっかけです。様々な人や機関が街を、社会サービスを作っている姿を目の当たりにし、地域を基盤として、社会福祉分野のまちづくり・活動づくりを探求したいと考え、研究活動をスタートさせました。
②NPO代表理事、その他の社会活動等(特非)北本学童保育の会うさぎっ子クラブ理事長、(社

福)昴理事、(社福)けやきの郷理事(特非)埼玉県社会福祉協議会評議員等 大学1年男子・高校1年男子・小学校6年女子はすべて学童保育でお世話になりました。

■佐藤幸恵

富士見市民営時代最後の年、娘の入室をきっかけに学童保育と出会いました。支援員20年め、5か所目のクラブで奮闘中です。

■山岸雄介

日本が誇る二輪車メーカーのものづくり担当。3姉妹のお父さん。保護者会会長として、何かお役に立てればという思いで参加してくださいます。

■河野伸枝

現在の飯能市かたくりクラブのつくり運動から携わり、支援員31年目です。今や、学童のOBが保護者となり、OBの子どもたちが学童に通ってきます。

■上野達也

岩手県出身。教職8年目の現在は秩父地域の小規模校で学級担任をしています。子どもたちの自立を目指し、試行錯誤しています。埼玉県生活指導研究協議会常任委員

■峯眞人

埼玉県岩槻市生まれ。埼玉県立春日部高等学校卒業後、日本大学医学部卒業後、小児科学専攻。埼玉県小児医療センター立ち上げから関与。亡父より峯小児科継承(四代目)。旧岩槻市教育委員会教育長も歴任。

日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会アドバイザー、埼玉県小児保健協会会長、さいたま市新型コロナウイルス感染症対策専門家会議委員としてもご活躍です

 

【参考資料】指導員(放課後児童支援員)の生活づくりを考える際のよりどころとなる理念・考え方・根拠※下線事務局

1.児童福祉法 第1条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。 第2条全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
  1. 2.放課後児童クラブ運営指針
  2. 放課後児童健全育成事業の役割
(2)放課後児童健全育成事業の運営主体及び放課後児童クラブは、児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの最善の利益を考慮して育成支援を推進することに努めなければならない。 3.子どもの権利条約(児童の権利に関する条約) 第3条 1児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。 2締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。 3締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。
第12条
1締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
第31条
1締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。
  1. 「国連・子どもの権利委員会:新型コロナ感染症(COVID-19)に関する声明」2020年4月8日(※別紙)
  2. 2020年5月31日 日本子どもを守る会の声明「コロナウイルス禍から子どもを守り育てるために学校の再開にあたって」(※別紙)
【参考資料】事務局提案 withコロナ時代の生活づくりを進めるに当たって必要な条件、私たちのとりくみ
    1. 指導員が、「正しく怖がり」ながら生活づくり実践を進めるための、コロナについての情報提供1-1.新型コロナウイルス感染症についての正確な知識・情報の習得と、それらの更新
    2. 1-2.コロナ禍の下で、何にどのように留意しながら保育を進めていくか?
  1. コロナ禍の下でも生活づくりを進められる学童保育の環境・条件づくり
2-1.「三密」を回避できる施設環境(現状:1支援の単位40人、1児童当たり1.65㎡)の抜本的な改善を 2-2.「放課後児童支援員の数は支援の単位ごとに2人以上(1人を除き補助員でも可)」の基 準が「参酌基準」となった(2020年4月から)。「従うべき基準」へ戻させる。 かつ、1支援の単位に常勤複数の指導員配置できるように。 指導員の安定粋な雇用手と労働条件の確保 2-3.コロナ環境下での交流のアイテムとしてオンライン環境に慣れることも必要
    1. 「子どもの最善の利益」を共通価値として学校・教師と学童保育・指導員との連携・協力3-1.学校休業時における子どもに関わる情報等の共有、学校での「預かり」等の支援
    2. 3-2.コロナ禍の下での子どもへの支援方法・支援の留意点について共通認識を持てるしくみづくり(例)富山県における富山市感染症対策検討会議と市立小中学校との連携
  1. 埼玉県学童保育連絡協議会としての課題4-1.コロナに関する情報提供、情報提供を行う環境づくり(=オンライン化)の支援
4-2.コロナ関連施策の継続・改善(今回の第2次補正予算「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」等)