第7回学童保育指導員労働問題基礎講座
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- 今回の講座の趣旨
第7回学童保育指導員労働問題基礎講座
今回の講座の趣旨
政府は、来年度から市町村に対して「放課後に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するため…全小学校区において、 文部科学省「放課後子ども教室推進事業」と厚生労働省「放課後児童健全育成事業」を一体的あるいは連携して実施する総合的な 放課後対策事業(放課後子どもプラン)」を策定することを求めています。
「放課後に子どもたちの安全で健やかな居場所」をつくることには異論はありませんが、学童保育と「放課後子ども教室推進事業」や 「全児童対策事業」との「一体的…実施」→「一体化」ということになると話が違います。 奇しくも複数のマスコミが「2つの事業を一体的に実施する」ことに力点を置いた報道をしたことが、政府の中に「一体化」を 進めたい強い考えのあることを裏付けました。
働く女性の増大や地域の子育て環境の悪化などを背景に学童保育に対する需要が急増しており、片や大規模化、 片や待機児童増という問題を生んでおり、学童保育の整備が大きな課題となってはいます。 今回の「プラン」がこの解決のために、学校余裕教室を積極的に活用するというのであれば大いに賛成できますが、 「放課後子ども教室推進事業」や「全児童対策事業」と「一体的…実施」→「一体化」するということについては、 “やめていただきたい!”と言わざるを得ません。先行した悪例として、川崎市や東京都品川区等があり、それらの市区では、 「全児童対策事業」に学童保育が吸収され(なくなり)、学童保育を必要としている子どもが実質的に排除されている事実があるからです。
また、「放課後子どもプラン」の背景として「2007年度以降、大量退職する教員に活動の場を提供する狙いもあり」 (9月29日付け『讀賣』夕刊)、この「プラン」の人的資源は退職教員やボランティアでよいという考え方も見られます。
(※その後の政府説明では、「放課後児童クラブの専任指導員は、地域子ども教室推進事業との兼務はできないと考えている」とも述べています。)こうした、多くの問題を含んだ「プラン」が登場してしまう要因として、1つに、学童保育について、法制化はされたもののの、 施設・指導員・保育内容などについての基準がないという制度上の不十分さがあります。 同時にまた、小学校児童全般の学校放課後の生活のあり方、学童保育対象児童(留守家庭児童)の生活のあり方双方について、 社会的な合意ができていないことがあります。幸い、埼玉県は全国に先駆けて2004年3月、「県放課後児童クラブ運営基準」を策定し、 学童保育についての基準を明確にしていますが、政府全体での合意には至っていません。
「放課後子どもプラン問題」は、「全児童対策事業」等との関係で、学童保育の役割とは何か?指導員の仕事・役割・専門性とは何か? を改めて問いかけています。この問題を契機に、改めて学童保育と指導員の課題を考えたいと思います。
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