第4章 放課後児童クラブの運営
1.職員体制
- (1)放課後児童クラブには、年齢や発達の状況が異なる子どもを同時にかつ継続的に育成支援を行う必要があること、安全面での管理が必要であること等から、支援の単位ごとに2人以上の放課後児童支援員(基準第10条第3項各号のいずれかに該当する者であって、都道府県知事が行う研修を修了したもの)を置かなければならない。ただし、そのうち1人は、補助員(放課後児童支援員が行う支援について放課後児童支援員を補助する者)に代えることができる。
- (2)放課後児童支援員等は、支援の単位ごとに育成支援を行わなければならない。なお、放課後児童クラブを利用する子どもが20人未満の場合で、放課後児童支援員のうち1人を除いた者又は補助員が同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事している場合等は、この限りではない。
- (3)子どもとの安定的、継続的な関わりが重要であるため、放課後児童支援員の雇用に当たっては、長期的に安定した形態とすることが求められる。
- (4)放課後児童支援員等の勤務時間については、子どもの受入れ準備や打合せ、育成支援の記録作成等、開所時間の前後に必要となる時間を前提として設定されることが求められる。
2.子ども集団の規模(支援の単位)
- (1)放課後児童クラブの適切な生活環境と育成支援の内容が確保されるように、施設設備、職員体制等の状況を総合的に勘案し、適正な子ども数の規模の範囲で運営することが必要である。
- (2)子ども集団の規模(支援の単位)は、子どもが相互に関係性を構築したり、1つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模として、おおむね40人以下とする。
3.開所時間及び開所日
- (1)開所時間及び開所日については、保護者の就労時間、学校の授業の終了時刻その他の地域の実情等を考慮して、当該放課後児童クラブごとに設定する。
- (2)開所時間については、学校の授業の休業日は1日につき8時間以上、学校の授業の休業日以外の日は1日につき3時間以上の開所を原則とする。なお、子どもの健全育成上の観点にも配慮した開所時間の設定が求められる。
- (3)開所する日数については、1年につき250日以上を原則として、保護者の就労日数、学校の授業の休業日その他の地域の実情等を考慮して、当該放課後児童クラブごとに設定する。
- (4)新1年生については、保育所との連続性を考慮し、4月1日より受け入れを可能にする必要がある。
4.利用の開始等に関わる留意事項
- (1)放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童クラブの利用の募集に当たり、適切な時期に様々な機会を活用して広く周知を図ることが必要である。その際には、利用に当たっての留意事項の明文化、入所承認の方法の公平性の担保等に努める必要がある。
- (2)放課後児童クラブの利用を希望する保護者等に対しては、必要な情報を提供することが求められる。
- (3)利用の開始に当たっては、説明会等を開催し、利用に際しての決まり等について説明することが求められる。
- (4)特に新1年生の環境変化に配慮して、利用の開始の前に、子どもや家庭の状況、保護者のニーズ及び放課後児童クラブでの過ごし方について十分に保護者等と情報交換することが求められる。
- (5)子どもが放課後児童クラブを退所する場合には、その子どもの生活の連続性や家庭の状況に配慮し、保護者等からの相談に応じて適切な支援への引き継ぎを行う。
5.運営主体
- (1)放課後児童健全育成事業は、市町村が行うこととし、放課後児童クラブの運営については、育成支援の継続性という観点からも、安定した経営基盤と運営体制を有し、子どもの健全育成や地域の実情についての理解を十分に有する主体が、継続的、安定的に運営することが求められる。
- (2)放課後児童クラブの運営主体は、次の点に留意して運営する必要がある。
- ○ 子どもの人権に十分配慮するとともに、一人ひとりの人格を尊重して、その運営を行う。
- ○ 地域社会との交流及び連携を図り、子どもの保護者及び地域社会に対し、放課後児童クラブの運営の内容を適切に説明するように努める。
- ○ 放課後児童クラブの運営の内容について、自ら評価を行い、その結果を公表するように努める。
- ○ 子どもや保護者の国籍、信条又は社会的身分による差別的な扱いをしない。
- ○ 放課後児童クラブごとに事業の運営についての重要事項(①事業の目的及び運営の方針、②職員の職種、員数及び職務の内容、③開所時間及び開所日、④育成支援の内容及び利用料、⑤定員、⑥事業の実施地域、⑦事業の利用に当たっての留意事項、⑧緊急時等における対応方法、⑨非常災害対策、⑩虐待の防止のための措置に関する事項、⑪その他事業の運営に関する重要事項)に関する運営規程を定め、また、職員、財産、収支及び利用者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備する。
- ○ 放課後児童クラブの運営主体に変更が生じる場合には、育成支援の継続性が保障され、子どもへの影響が最小限に抑えられるように努めるとともに、保護者の理解が得られるように努める必要がある。
6.労働環境整備
- (1)放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童支援員等の労働実態や意向を把握し、放課後児童支援員等が健康で意欲を持って就業できるように、労働環境の整備に努める必要がある。
- (2)放課後児童支援員等の健康管理や放課後児童クラブとしての衛生管理の観点から、健康診断等の実施が必要である。
- (3)放課後児童支援員等が、業務中あるいは通勤途上で災害等にあった場合の補償を行うため、事業主として労災保険に加入しておくことが必要である。また、必要に応じて厚生保険や雇用保険にも加入しておくことが求められる。
7.適正な会計管理及び情報公開
- (1)利用料等の徴収、管理及び執行に当たっては、定期的な検査や決算報告を行い、適正な会計管理を行うことが必要である。
- (2)社会福祉法(昭和26年法律第45号)第75条第1項の規定に基づき、福祉サービスを利用しようとする者が適切かつ円滑にこれを利用できるように、社会福祉事業を運営する事業者には、事業の内容に関する情報の提供についての努力義務が課せられている。このため、放課後児童クラブの運営主体は、会計処理や運営状況について、保護者や地域社会に対して情報公開することが求められる。
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