掲載にあたって
ここに掲載する「放課後児童クラブ運営指針」は、厚生労働省のホームページに掲載されている同文書をもとに、学童保育関係者の便宜のためウェブブラウザで閲覧できるようにしたものです。実際に本「運営指針」の内容を活用する際には、厚生労働省ホームページに掲載されている「放課後児童クラブ運営指針」の策定をご覧いただくことを強くおすすめします。
「放課後児童クラブ運営指針」の策定について
- 雇児発0331 第34号 平成27年3月31日
- 各都道府県知事・指定都市市長・中核市市長殿
- 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長
子ども・子育て支援施策及び子どもの健全育成の推進については、かねてより格別の御配慮をいただいているところであるが、平成24年に制定された「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成24年法律第67号)により改正された児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づき、厚生労働省においては、平成26年4月30日に「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第63号。以下「省令基準」という。)を策定し、全国的な一定水準の質の確保に向けた取組をより一層進めることとしたところである。
平成27年4月からは、省令基準を踏まえて策定される各市町村の条例に基づいて放課後児童クラブが運営されることになるため、その運営の多様性を踏まえつつ、放課後児童クラブにおいて集団の中で子どもに保障すべき遊び及び生活の環境や運営内容の水準を明確化し、事業の安定性及び継続性の確保を図っていく必要があることから、今般、「放課後児童クラブガイドライン」を見直し、別紙のとおり、事業者(運営主体)及び実践者向けの「放課後児童クラブ運営指針」(以下「運営指針」という。)を新たに策定し、国として放課後児童クラブに関する運営及び設備についてのより具体的な内容を定め、平成27年4月1日より適用することとしたので通知する。
この新たな運営指針の策定に当たっては、
- ① 放課後児童クラブの運営の多様性を踏まえ、「最低基準」としてではなく、望ましい方向に導いていくための「全国的な標準仕様」としての性格を明確化する
- ② 子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益を保障し、子どもにとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場となるように、放課後児童クラブが果たすべき役割を再確認し、その役割及び機能を適切に発揮できるような観点で内容を整理する
- ③ 子どもの発達過程や家庭環境なども考慮して、異なる専門性を有して従事している放課後児童支援員等が子どもとどのような視点で関わることが求められるのかという共通の認識を得るために必要となる内容を充実する
との観点で策定したところであり、各市町村においては、本運営指針に基づき管内の放課後児童クラブが適正かつ円滑に事業運営されているかを定期的に確認し、必要な指導及び助言を行うなど、放課後児童クラブの一定水準の質の確保及びその向上が図られるよう、御尽力いただきたい。
また、貴職におかれては、管内の市町村及び放課後児童クラブの関係者等に周知徹底を図っていただくようお願いしたい。
なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添える。
また、「放課後児童クラブガイドラインについて」(平成19年10月19日雇児発第1019001号)は本通知の施行に伴い廃止する。
放課後児童クラブ運営指針
1.放課後児童クラブ運営指針の目次構成
- 第1章 総則
- 第2章 事業の対象となる子どもの発達
- 第3章 放課後児童クラブにおける育成支援の内容
- 第4章 放課後児童クラブの運営
- 第5章 学校及び地域との関係
- 第6章 施設及び設備、衛生管理及び安全対策
- 第7章 職場倫理及び事業内容の向上
2.放課後児童クラブ運営指針
第1章 総則
1.趣旨
- (1)この運営指針は、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号。以下「基準」という。)に基づき、放課後児童健全育成事業を行う場所(以下「放課後児童クラブ」という。)における、子どもの健全な育成と遊び及び生活の支援(以下「育成支援」という。)の内容に関する事項及びこれに関連する事項を定める。
- (2)放課後児童健全育成事業の運営主体は、この運営指針において規定される支援の内容等に係る基本的な事項を踏まえ、各放課後児童クラブの実態に応じて創意工夫を図り、放課後児童クラブの質の向上と機能の充実に努めなければならない。
2.放課後児童健全育成事業の役割
- (1)放課後児童健全育成事業は、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第6条の3第2項に基づき、小学校(以下「学校」という。)に就学している子ども(特別支援学校の小学部の子どもを含む。以下同じ。)であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後(以下「放課後」という。)に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与え、子どもの状況や発達段階を踏まえながら、その健全な育成を図る事業である。
- (2)放課後児童健全育成事業の運営主体及び放課後児童クラブは、児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの最善の利益を考慮して育成支援を推進することに努めなければならない。
- (3)放課後児童健全育成事業の運営主体及び放課後児童クラブは、学校や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、保護者と連携して育成支援を行うとともに、その家庭の子育てを支援する役割を担う。
3.放課後児童クラブにおける育成支援の基本
(1)放課後児童クラブにおける育成支援
放課後児童クラブにおける育成支援は、子どもが安心して過ごせる生活の場としてふさわしい環境を整え、安全面に配慮しながら子どもが自ら危険を回避できるようにしていくとともに、子どもの発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるように、自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等により、子どもの健全な育成を図ることを目的とする。
(2)保護者及び関係機関との連携
放課後児童クラブは、常に保護者と密接な連携をとり、放課後児童クラブにおける子どもの様子を日常的に保護者に伝え、子どもに関する情報を家庭と放課後児童クラブで共有することにより、保護者が安心して子どもを育て、子育てと仕事等を両立できるように支援することが必要である。また、子ども自身への支援と同時に、学校等の関係機関と連携することにより、子どもの生活の基盤である家庭での養育を支援することも必要である。
(3)放課後児童支援員等の役割
放課後児童支援員は、豊かな人間性と倫理観を備え、常に自己研鑽に励みながら必要な知識及び技能をもって育成支援に当たる役割を担うとともに、関係機関と連携して子どもにとって適切な養育環境が得られるよう支援する役割を担う必要がある。また、放課後児童支援員が行う育成支援について補助する補助員も、放課後児童支援員と共に同様の役割を担うよう努めることが求められる。
(4)放課後児童クラブの社会的責任
- ① 放課後児童クラブは、子どもの人権に十分に配慮するとともに、子ども一人ひとりの人格を尊重して育成支援を行い、子どもに影響のある事柄に関して子どもが意見を述べ、参加することを保障する必要がある。
- ② 放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童支援員及び補助員(以下「放課後児童支援員等」という。)に対し、その資質の向上のために職場内外の研修の機会を確保しなければならない。
- ③ 放課後児童支援員等は、常に自己研鑽に励み、子どもの育成支援の充実を図るために、必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならない。
- ④ 放課後児童クラブの運営主体は、地域社会との交流や連携を図り、保護者や地域社会に当該放課後児童クラブが行う育成支援の内容を適切に説明するよう努めなければならない。
- ⑤ 放課後児童クラブ及び放課後児童クラブの運営主体は、子どもの利益に反しない限りにおいて、子どもや保護者のプライバシーの保護、業務上知り得た事柄の秘密保持に留意しなければならない。
- ⑥ 放課後児童クラブ及び放課後児童クラブの運営主体は、子どもや保護者の苦情等に対して迅速かつ適切に対応して、その解決を図るよう努めなければならない。
第2章 事業の対象となる子どもの発達
放課後児童クラブでは、放課後等に子どもの発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるようにすることが求められる。このため、放課後児童支援員等は、子どもの発達の特徴や発達過程を理解し、発達の個人差を踏まえて一人ひとりの心身の状態を把握しながら育成支援を行うことが必要である。
1.子どもの発達と児童期
6歳から12 歳は、子どもの発達の時期区分において幼児期と思春期・青年期との間にあり、児童期と呼ばれる。
児童期の子どもは、学校、放課後、家庭のサイクルを基本とした生活となる。
学校において基礎学力が形成されることに伴い、知的能力や言語能力、規範意識等が発達する。また、身長や体重の増加に伴って体力が向上し、遊びも活発化する。
社会性の発達に伴い、様々な仲間集団が形成されるなど、子ども同士の関わりも変化する。さらに、想像力や思考力が豊かになることによって遊びが多様化し、創意工夫が加わった遊びを創造できるようになる。
児童期には、幼児期の発達的特徴を残しつつ、思春期・青年期の発達的特徴の芽生えが見られる。子どもの発達は、行きつ戻りつの繰り返しを経ながら進行していく。
子どもは、家庭や学校、地域社会の中で育まれる。大人との安定した信頼関係のもとで、「学習」、「遊び」等の活動、十分な「休息」、「睡眠」、「食事」等が保障されることによって、子どもは安心して生活し育つことができる。
2.児童期の発達の特徴
児童期の発達には、主に次のような特徴がある。
- ○ ものや人に対する興味が広がり、その興味を持続させ、興味の探求のために自らを律することができるようになる。
- ○ 自然や文化と関わりながら、身体的技能を磨き、認識能力を発達させる。
- ○ 学校や放課後児童クラブ、地域等、子どもが関わる環境が広がり、多様な他者との関わりを経験するようになる。
- ○ 集団や仲間で活動する機会が増え、その中で規律と個性を培うとともに、他者と自己の多様な側面を発見できるようになる。
- ○ 発達に応じて「親からの自立と親への依存」、「自信と不安」、「善悪と損得」、「具体的思考と抽象的思考」等、様々な心理的葛藤を経験する。
3.児童期の発達過程と発達領域
児童期には、特有の行動が出現するが、その年齢は固定的なものではなく、個人差も大きい。目安として、おおむね6歳~8歳(低学年)、9歳~10歳(中学年)、11 歳~12歳(高学年)の3つの時期に区分することができる。なお、この区分は、同年齢の子どもの均一的な発達の基準ではなく、一人ひとりの子どもの発達過程を理解する目安として捉えるべきものである。
(1)おおむね6歳~8歳
子どもは学校生活の中で、読み書きや計算の基本的技能を習得し、日常生活に必要な概念を学習し、係や当番等の社会的役割を担う中で、自らの成長を自覚していく。一方で、同時にまだ解決できない課題にも直面し、他者と自己とを比較し、葛藤も経験する。
遊び自体の楽しさの一致によって群れ集う集団構成が変化し、そこから仲間関係や友達関係に発展することがある。ただし、遊びへの参加がその時の気分に大きく影響されるなど、幼児的な発達の特徴も残している。
ものや人に対する興味が広がり、遊びの種類も多様になっていき、好奇心や興味が先に立って行動することが多い。
大人に見守られることで、努力し、課題を達成し、自信を深めていくことができる。その後の時期と比べると、大人の評価に依存した時期である。
(2)おおむね9歳~10 歳
論理的な思考や抽象的な言語を用いた思考が始まる。道徳的な判断も、結果だけに注目するのではなく、動機を考慮し始める。また、お金の役割等の社会の仕組みについても理解し始める。
遊びに必要な身体的技能がより高まる。
同年代の集団や仲間を好み、大人に頼らずに活動しようとする。他者の視線や評価に一層敏感になる。
言語や思考、人格等の子どもの発達諸領域における質的変化として表れる「9、10歳の節」と呼ばれる大きな変化を伴っており、特有の内面的な葛藤がもたらされる。この時期に自己の多様な可能性を確信することは、発達上重要なことである。
(3)おおむね11 歳~12 歳
学校内外の生活を通じて、様々な知識が広がっていく。また、自らの得意不得意を知るようになる。
日常生活に必要な様々な概念を理解し、ある程度、計画性のある生活を営めるようになる。
大人から一層自立的になり、少人数の仲間で「秘密の世界」を共有する。友情が芽生え、個人的な関係を大切にするようになる。
身体面において第2次性徴が見られ、思春期・青年期の発達的特徴が芽生える。しかし、性的発達には個人差が大きく、身体的発育に心理的発達が伴わない場合もある。
4.児童期の遊びと発達
放課後児童クラブでは、休息、遊び、自主的な学習、おやつ、文化的行事等の取り組みや、基本的な生活に関すること等、生活全般に関わることが行われる。その中でも、遊びは、自発的、自主的に行われるものであり、子どもにとって認識や感情、主体性等の諸能力が統合化される他に代えがたい不可欠な活動である。
子どもは遊びの中で、他者と自己の多様な側面を発見できるようになる。そして、遊びを通じて、他者との共通性と自身の個性とに気付いていく。
児童期になると、子どもが関わる環境が急速に拡大する。関わる人々や遊びの種類も多様になり、活動範囲が広がる。また、集団での遊びを継続することもできるようになっていく。その中で、子どもは自身の欲求と相手の欲求を同時に成立させるすべを見いだし、順番を待つこと、我慢すること、約束を守ることや平等の意味等を身に付け、協力することや競い合うことを通じて自分自身の力を伸ばしていく。
子どもは、遊びを通じて成功や失敗の経験を積み重ねていく。子どもが遊びに自発的に参加し、遊びの楽しさを仲間の間で共有していくためには、大人の援助が必要なこともある。
5.子どもの発達過程を踏まえた育成支援における配慮事項
放課後児童支援員等は、子どもの発達過程を踏まえ、次に示す事項に配慮して子ども一人ひとりの心身の状態を把握しながら、集団の中での子ども同士の関わりを大切にして育成支援を行うことが求められる。
(1)おおむね6歳~8歳の子どもへの配慮
- ○ 幼児期の発達的特徴も見られる時期であることを考慮する。
- ○ 放課後児童支援員等が身近にいて、子どもが安心して頼ることのできる存在になれるように心掛ける。
- ○ 子どもは遊びに夢中になると時間や場所を忘れることがある。安全や健康を管理するために子どもの時間と場所に関する意識にも目を届かせるようにする。
(2)おおむね9歳~10 歳の子どもへの配慮
- ○ 「9、10 歳の節」と呼ばれる発達諸領域における質的変化を伴うことを考慮して、子どもの意識や感情の変化を適切に捉えるように心掛ける。
- ○ 同年代の仲間との関わりを好み、大人に頼らず活動しようとする、他の子どもの視線や評価に敏感になるなど、大人に対する見方や自己と他者への意識や感情の発達的特徴の理解に基づいた関わりをする。
(3)おおむね11歳~12歳の子どもへの配慮
- ○ 大人から一層自立的になるとともに、子ども同士の個人的な関係を大切にするようになるなどの発達的特徴を理解することに努め、信頼に基づく関わりを心掛ける。
- ○ ある程度、計画性のある生活を営めるようになる時期であることを尊重し、子ども自身が主体的な遊びや生活ができるような関係を大切にする。
- ○ 思春期・青年期の発達的特徴が芽生えることを考慮し、性的発達を伴う身体的発育と心理的発達の変化について理解し、適切な対応をする。
(4)遊びと生活における関わりへの配慮
子どもの遊びへの関わりは、安全の確保のような間接的なものから、大人が自ら遊びを楽しむ姿を見せるというような直接的なものまで、子どもの発達や状況に応じた柔軟なものであることが求められる。また、その時々の子どもの体調や気分によって、遊びの選択や子ども同士の関わり方が異なることを理解することも必要である。
子どもは時に大人の指示を拒んだり、反抗的に見える態度をとったりすることもある。子どもの言動の背景を理解することが求められる。子どもが放課後児童クラブの中でお互いの役割を理解し合って生活していくためには、子ども同士の中での自律的な関係を認めつつ、一人ひとりの意識や発達の状況にも十分に配慮する必要がある。
第3章 放課後児童クラブにおける育成支援の内容
1.育成支援の内容
- (1)放課後児童クラブに通う子どもは、保護者が労働あるいは疾病や介護等により授業の終了後の時間帯(放課後、学校休業日)に子どもの養育ができない状況によって、放課後児童クラブに通うことが必要となっているため、その期間を子どもが自ら進んで通い続けるためには、放課後児童支援員等が保護者と連携して育成支援を行う必要がある。
- (2)放課後児童クラブは、年齢や発達の状況が異なる多様な子ども達が一緒に過ごす場である。放課後児童支援員等には、それぞれの子どもの発達の特徴や子ども同士の関係を捉えながら適切に関わることで、子どもが安心して過ごせるようにし、一人ひとりと集団全体の生活を豊かにすることが求められる。
- (3)子どもの発達や養育環境の状況等を把握し、子どもが発達面や養育環境等で固有の援助を必要としている場合には、その援助を適切に行う必要がある。
- (4)子どもにとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場であり、放課後児童支援員等が信頼できる存在であることを前提として、放課後児童クラブにおける育成支援には、主に次のような内容が求められる。
- ① 子どもが自ら進んで放課後児童クラブに通い続けられるように援助する。
- ・放課後児童クラブに通うことについて、その必要性を子どもが理解できるように援助する。
- ・放課後児童支援員等は、子どもの様子を日常的に保護者に伝え、放課後児童支援員等と保護者がお互いに子どもの様子を伝え合えるようにする。
- ・子どもが放課後児童クラブに通うことに関して、学校と情報交換し、連携する。
- ・子どもの遊びや生活の環境及び帰宅時の安全等について、地域の人々の理解と協力が得られるようにする。
- ② 子どもの出欠席と心身の状態を把握して、適切に援助する。
- ・子どもの出欠席についてあらかじめ保護者からの連絡を確認しておくとともに、連絡なく欠席したり来所が遅れたりした子どもについては速やかに状況を把握して適切に対応する。
- ・子どもの来所時には、子どもが安心できるように迎え入れ、子ども一人ひとりの心身の状態を把握する。
- ・遊びや生活の場面における子どもの状況や体調、情緒等を把握し、静養や気分転換が必要な時には適切に対応する。なお、病気やケガの場合は、速やかに保護者と連絡をとる。
- ③ 子ども自身が見通しを持って主体的に過ごせるようにする。
- ・子どもが放課後児童クラブでの過ごし方について理解できるようにし、主体的に生活できるように援助する。
- ・放課後児童支援員等は、子ども全体に共通する生活時間の区切りをつくり、柔軟に活用して子どもが放課後の時間を自己管理できるように援助する。
- ・放課後児童クラブにおける過ごし方や生活時間の区切り等は、保護者にも伝えて理解を得ておく。
- ④ 放課後児童クラブでの生活を通して、日常生活に必要となる基本的な生活習慣を習得できるようにする。
- ・手洗いやうがい、持ち物の管理や整理整頓、活動に応じた衣服の着脱等の基本的な生活習慣が身に付くように援助する。
- ・子ども達が集団で過ごすという特性を踏まえて、一緒に過ごす上で求められる協力及び分担や決まりごと等を理解できるようにする。
- ⑤ 子どもが発達段階に応じた主体的な遊びや生活ができるようにする。
- ・子ども達が協力し合って放課後児童クラブの生活を維持していくことができるようにする。その際、年齢や発達の状況が異なる子ども達が一緒に生活していることを考慮する。
- ・子どもが仲間関係をつくりながら、自発的に遊びをつくり出すことができるようにする。
- ・遊びや生活の中で生じる意見の対立やけんかなどについては、お互いの考え方の違いに気付くこと、葛藤の調整や感情の高ぶりを和らげること等ができるように、適切に援助する。
- ・子どもの間でいじめ等の関係が生じないように配慮するとともに、万一そのような問題が起きた時には早期対応に努め、放課後児童支援員等が協力して適切に対応する。
- ・屋内外ともに子どもが過ごす空間や時間に配慮し、発達段階にふさわしい遊びと生活の環境をつくる。その際、製作活動や伝承遊び、地域の文化にふれる体験等の多様な活動や遊びを工夫することも考慮する。
- ・子どもが宿題、自習等の学習活動を自主的に行える環境を整え、必要な援助を行う。
- ・放課後児童クラブの子ども達が地域の子ども達と一緒に遊んだり活動したりする機会を設ける。
- ・地域での遊びの環境づくりへの支援も視野に入れ、必要に応じて保護者や地域住民が協力しながら活動に関わることができるようにする。
- ⑥ 子どもが自分の気持ちや意見を表現することができるように援助し、放課後児童クラブの生活に主体的に関わることができるようにする。
- ・子ども一人ひとりの放課後児童クラブでの生活状況を把握しながら、子どもの情緒や子ども同士の関係にも配慮し、子どもの意見を尊重する。
- ・子どもが放課後児童支援員等に悩みや相談事も話せるような信頼関係を築く。
- ・行事等の活動では、企画の段階から子どもの意見を反映させる機会を設けるなど、様々な発達の過程にある子どもがそれぞれに主体的に運営に関わることができるように工夫する。
- ⑦ 子どもにとって放課後の時間帯に栄養面や活力面から必要とされるおやつを適切に提供する。
- ・発達過程にある子どもの成長にあわせて、放課後の時間帯に必要とされる栄養面や活力面を考慮して、おやつを適切に提供する。おやつの提供に当たっては、補食としての役割もあることから、昼食と夕食の時間帯等を考慮して提供時間や内容、量等を工夫する。
- ・おやつの提供に際しては、安全及び衛生に考慮するとともに、子どもが落ちついて食を楽しめるようにする。
- ・食物アレルギーのある子どもについては、配慮すべきことや緊急時の対応等について事前に保護者と丁寧に連絡を取り合い、安全に配慮して提供する。
- ⑧ 子どもが安全に安心して過ごすことができるように環境を整備するとともに、緊急時に適切な対応ができるようにする。
- ・子どもが自分で避けることのできない危険に遭遇しないように、遊びと生活の環境について安全点検と環境整備を行う。
- ・子どもが危険に気付いて判断したり、事故等に遭遇した際に被害を最小限にしたりするための安全に関する自己管理能力を身に付けられるように援助する。
- ・事故やケガ、災害等の緊急時に子どもの安全が守られるように、対応方針を作成して定期的に訓練を行う。
- ⑨ 放課後児童クラブでの子どもの様子を日常的に保護者に伝え、家庭と連携して育成支援を行う。
- ・放課後児童クラブにおける子どもの様子を日常的に保護者に伝える。
- ・子どもに関する情報を家庭と放課後児童クラブで共有することにより、保護者が安心して子育てと仕事等を両立できるように支援する。
- ① 子どもが自ら進んで放課後児童クラブに通い続けられるように援助する。
2.障害のある子どもへの対応
(1)障害のある子どもの受入れの考え方
- ○ 障害のある子どもについては、地域社会で生活する平等の権利の享受と、包容・参加(インクルージョン)の考え方に立ち、子ども同士が生活を通して共に成長できるよう、障害のある子どもも放課後児童クラブを利用する機会が確保されるための適切な配慮及び環境整備を行い、可能な限り受入れに努める。
- ○ 放課後児童クラブによっては、新たな環境整備が必要となる場合なども考えられるため、受入れの判断については、子ども本人及び保護者の立場に立ち、公平性を保って行われるように判断の基準や手続等を定めることが求められる。
- ○ 障害のある子どもの受入れに当たっては、子どもや保護者と面談の機会を持つなどして、子どもの健康状態、発達の状況、家庭の状況、保護者の意向等を個別に把握する。
- ○ 地域社会における障害のある子どもの放課後の生活が保障されるように、放課後等デイサービス等と連携及び協力を図る。その際、放課後等デイサービスと併行利用している場合には、放課後等デイサービス事業所と十分な連携を図り、協力できるような体制づくりを進めていくことが求められる。
(2)障害のある子どもの育成支援に当たっての留意点
- ○ 障害のある子どもが、放課後児童クラブでの子ども達との生活を通して共に成長できるように、見通しを持って計画的な育成支援を行う。
- ○ 継続的な育成支援を行うために、障害のある子ども一人ひとりについて放課後児童クラブでの状況や育成支援の内容を記録する。
- ○ 障害のある子どもの育成支援についての事例検討を行い、研修等を通じて、障害について理解する。
- ○ 障害のある子どもの特性を踏まえた育成支援の向上のために、地域の障害児関係の専門機関等と連携して、相談できる体制をつくる。その際、保育所等訪問支援、障害児等療育支援事業や巡回支援専門員整備事業の活用等も考慮する。
- ○ 障害のある子どもの育成支援が適切に図られるように、個々の子どもの状況に応じて環境に配慮するとともに、職員配置、施設や設備の改善等についても工夫する。
- ○ 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)の理念に基づいて、障害のある子どもへの虐待の防止に努めるとともに、防止に向けての措置を講ずる。
3.特に配慮を必要とする子どもへの対応
(1)児童虐待への対応
- ○ 放課後児童支援員等は、児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)に基づき児童虐待の早期発見の努力義務が課されていることを踏まえ、子どもの状態や家庭の状況の把握により、保護者に不適切な養育等が疑われる場合には、市町村(特別区を含む。以下同じ。)や関係機関と連携し、法第25条の2第1項に規定する要保護児童対策地域協議会で協議するなど、適切に対応することが求められる。
- ○ 児童虐待が疑われる場合には、放課後児童支援員等は各自の判断だけで対応することは避け、放課後児童クラブの運営主体の責任者と協議の上で、市町村又は児童相談所に速やかに通告し、関係機関と連携して放課後児童クラブとして適切な対応を図らなければならない。
(2)特別の支援を必要とする子どもへの対応
- ○ 放課後児童支援員等は、子どもの家庭環境についても配慮し、家庭での養育について特別の支援が必要な状況を把握した場合には、子どもと保護者の安定した関係の維持に留意しつつ、市町村や関係機関と連携して適切な支援につなげるように努める。
- ○ 放課後児童クラブでの生活に特に配慮を必要とする子どもの支援に当たっては、保護者、市町村、関係機関と情報交換を行い、連携して適切な育成支援に努める。
(3)特に配慮を必要とする子どもへの対応に当たっての留意事項
- ○ 特に配慮を必要とする子どもへの対応に当たっては、子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子どものプライバシーの保護、業務上知り得た事柄の秘密保持に留意する。
4.保護者との連携
(1)保護者との連絡
- ○ 子どもの出欠席についてあらかじめ保護者からの連絡を確認しておく。
- ○ 放課後児童クラブにおける子どもの遊びや生活の様子を日常的に保護者に伝え、子どもの状況について家庭と放課後児童クラブで情報を共有する。
- ○ 保護者への連絡については、連絡帳を効果的に活用することが必要である。その他、保護者の迎えの際の直接の連絡、通信、保護者会、個人面談等の様々な方法を有効に活用する。
(2)保護者からの相談への対応
- ○ 放課後児童支援員等は、育成支援を通じて保護者との信頼関係を築くことに努めるとともに、子育てのこと等について保護者が相談しやすい雰囲気づくりを心掛ける。
- ○ 保護者から相談がある場合には、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に保護者の自己決定を尊重して対応する。また、必要に応じて市町村や関係機関と連携する。
(3)保護者及び保護者組織との連携
- ○ 放課後児童クラブの活動を保護者に伝えて理解を得られるようにするとともに、保護者が活動や行事に参加する機会を設けるなどして、保護者との協力関係をつくる。
- ○ 保護者組織と連携して、保護者が互いに協力して子育ての責任を果たせるように支援する。
5.育成支援に含まれる職務内容と運営に関わる業務
(1)育成支援に含まれる職務内容
放課後児童クラブにおける育成支援に係る職務内容には、次の事項が含まれる。
- ○ 子どもが放課後児童クラブでの生活に見通しを持てるように、育成支援の目標や計画を作成し、保護者と共通の理解を得られるようにする。
- ○ 日々の子どもの状況や育成支援の内容を記録する。
- ○ 職場内で情報を共有し事例検討を行って、育成支援の内容の充実、改善に努める。
- ○ 通信や保護者会等を通して、放課後児童クラブでの子どもの様子や育成支援に当たって必要な事項を、定期的かつ同時にすべての家庭に伝える。
(2)運営に関わる業務
放課後児童クラブの運営に関わる業務として、次の取り組みも必要とされる。
- ・業務の実施状況に関する日誌(子どもの出欠席、職員の服務に関する状況等)
- ・運営に関する会議や打合せ、申合せや引継ぎ
- ・おやつの発注、購入等
- ・遊びの環境と施設の安全点検、衛生管理、清掃や整理整頓
- ・保護者との連絡調整
- ・学校との連絡調整
- ・地域の関係機関、団体との連絡調整
- ・会計事務
- ・その他、事業運営に関する記録
第4章 放課後児童クラブの運営
1.職員体制
- (1)放課後児童クラブには、年齢や発達の状況が異なる子どもを同時にかつ継続的に育成支援を行う必要があること、安全面での管理が必要であること等から、支援の単位ごとに2人以上の放課後児童支援員(基準第10条第3項各号のいずれかに該当する者であって、都道府県知事が行う研修を修了したもの)を置かなければならない。ただし、そのうち1人は、補助員(放課後児童支援員が行う支援について放課後児童支援員を補助する者)に代えることができる。
- (2)放課後児童支援員等は、支援の単位ごとに育成支援を行わなければならない。なお、放課後児童クラブを利用する子どもが20人未満の場合で、放課後児童支援員のうち1人を除いた者又は補助員が同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事している場合等は、この限りではない。
- (3)子どもとの安定的、継続的な関わりが重要であるため、放課後児童支援員の雇用に当たっては、長期的に安定した形態とすることが求められる。
- (4)放課後児童支援員等の勤務時間については、子どもの受入れ準備や打合せ、育成支援の記録作成等、開所時間の前後に必要となる時間を前提として設定されることが求められる。
2.子ども集団の規模(支援の単位)
- (1)放課後児童クラブの適切な生活環境と育成支援の内容が確保されるように、施設設備、職員体制等の状況を総合的に勘案し、適正な子ども数の規模の範囲で運営することが必要である。
- (2)子ども集団の規模(支援の単位)は、子どもが相互に関係性を構築したり、1つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模として、おおむね40人以下とする。
3.開所時間及び開所日
- (1)開所時間及び開所日については、保護者の就労時間、学校の授業の終了時刻その他の地域の実情等を考慮して、当該放課後児童クラブごとに設定する。
- (2)開所時間については、学校の授業の休業日は1日につき8時間以上、学校の授業の休業日以外の日は1日につき3時間以上の開所を原則とする。なお、子どもの健全育成上の観点にも配慮した開所時間の設定が求められる。
- (3)開所する日数については、1年につき250日以上を原則として、保護者の就労日数、学校の授業の休業日その他の地域の実情等を考慮して、当該放課後児童クラブごとに設定する。
- (4)新1年生については、保育所との連続性を考慮し、4月1日より受け入れを可能にする必要がある。
4.利用の開始等に関わる留意事項
- (1)放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童クラブの利用の募集に当たり、適切な時期に様々な機会を活用して広く周知を図ることが必要である。その際には、利用に当たっての留意事項の明文化、入所承認の方法の公平性の担保等に努める必要がある。
- (2)放課後児童クラブの利用を希望する保護者等に対しては、必要な情報を提供することが求められる。
- (3)利用の開始に当たっては、説明会等を開催し、利用に際しての決まり等について説明することが求められる。
- (4)特に新1年生の環境変化に配慮して、利用の開始の前に、子どもや家庭の状況、保護者のニーズ及び放課後児童クラブでの過ごし方について十分に保護者等と情報交換することが求められる。
- (5)子どもが放課後児童クラブを退所する場合には、その子どもの生活の連続性や家庭の状況に配慮し、保護者等からの相談に応じて適切な支援への引き継ぎを行う。
5.運営主体
- (1)放課後児童健全育成事業は、市町村が行うこととし、放課後児童クラブの運営については、育成支援の継続性という観点からも、安定した経営基盤と運営体制を有し、子どもの健全育成や地域の実情についての理解を十分に有する主体が、継続的、安定的に運営することが求められる。
- (2)放課後児童クラブの運営主体は、次の点に留意して運営する必要がある。
- ○ 子どもの人権に十分配慮するとともに、一人ひとりの人格を尊重して、その運営を行う。
- ○ 地域社会との交流及び連携を図り、子どもの保護者及び地域社会に対し、放課後児童クラブの運営の内容を適切に説明するように努める。
- ○ 放課後児童クラブの運営の内容について、自ら評価を行い、その結果を公表するように努める。
- ○ 子どもや保護者の国籍、信条又は社会的身分による差別的な扱いをしない。
- ○ 放課後児童クラブごとに事業の運営についての重要事項(①事業の目的及び運営の方針、②職員の職種、員数及び職務の内容、③開所時間及び開所日、④育成支援の内容及び利用料、⑤定員、⑥事業の実施地域、⑦事業の利用に当たっての留意事項、⑧緊急時等における対応方法、⑨非常災害対策、⑩虐待の防止のための措置に関する事項、⑪その他事業の運営に関する重要事項)に関する運営規程を定め、また、職員、財産、収支及び利用者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備する。
- ○ 放課後児童クラブの運営主体に変更が生じる場合には、育成支援の継続性が保障され、子どもへの影響が最小限に抑えられるように努めるとともに、保護者の理解が得られるように努める必要がある。
6.労働環境整備
- (1)放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童支援員等の労働実態や意向を把握し、放課後児童支援員等が健康で意欲を持って就業できるように、労働環境の整備に努める必要がある。
- (2)放課後児童支援員等の健康管理や放課後児童クラブとしての衛生管理の観点から、健康診断等の実施が必要である。
- (3)放課後児童支援員等が、業務中あるいは通勤途上で災害等にあった場合の補償を行うため、事業主として労災保険に加入しておくことが必要である。また、必要に応じて厚生保険や雇用保険にも加入しておくことが求められる。
7.適正な会計管理及び情報公開
- (1)利用料等の徴収、管理及び執行に当たっては、定期的な検査や決算報告を行い、適正な会計管理を行うことが必要である。
- (2)社会福祉法(昭和26年法律第45号)第75条第1項の規定に基づき、福祉サービスを利用しようとする者が適切かつ円滑にこれを利用できるように、社会福祉事業を運営する事業者には、事業の内容に関する情報の提供についての努力義務が課せられている。このため、放課後児童クラブの運営主体は、会計処理や運営状況について、保護者や地域社会に対して情報公開することが求められる。
第5章 学校及び地域との関係
1.学校との連携
- (1)子どもの生活の連続性を保障するために、情報交換や情報共有、職員同士の交流等によって学校との連携を積極的に図る。
- (2)学校との情報交換や情報共有は日常的、定期的に行い、その実施に当たっては、個人情報の保護や秘密の保持についてあらかじめ取り決めておく。
- (3)子どもの遊びと生活の場を広げるために、学校の校庭、体育館や余裕教室等を利用できるように連携を図る。
2.保育所、幼稚園等との連携
- (1)新1年生については、子どもの発達と生活の連続性を保障するために、保育所、幼稚園等と子どもの状況について情報交換や情報共有を行う。
- (2)保育所、幼稚園等との子ども同士の交流、職員同士の交流等を行う。
3.地域、関係機関との連携
- (1)放課後児童クラブに通う子どもの生活について地域の協力が得られるように、自治会・町内会や民生委員・児童委員(主任児童委員)等の地域組織や子どもに関わる関係機関等と情報交換や情報共有、相互交流を図る。
- (2)地域住民の理解を得ながら、地域の子どもの健全育成の拠点である児童館やその他地域の公共施設等を積極的に活用し、放課後児童クラブの子どもの活動と交流の場を広げる。
- (3)事故、犯罪、災害等から子どもを守るため、地域住民と連携、協力して子どもの安全を確保する取り組みを行う。
- (4)子どもの病気やケガ、事故等に備えて、日常から地域の保健医療機関等と連携を図る。
4.学校、児童館を活用して実施する放課後児童クラブ
(1)学校施設を活用して実施する放課後児童クラブ
- ○ 学校施設を活用する場合には、放課後児童クラブの運営主体が責任をもって管理運営に当たるとともに、施設の使用に当たって学校や関係者の協力が得られるように努める。
- ○ 「放課後子ども総合プラン」に基づき、放課後子供教室と一体的に実施する場合は、放課後児童クラブに通う子どもの生活の場としての機能を十分に担保し、育成支援の環境に配慮する。なお、放課後子供教室への参加に当たっては、体調や帰宅時刻等の理由から参加できない子どもがいることも考慮する。
- ○ 放課後子供教室の企画内容や準備等について、円滑な協力ができるように放課後子供教室との打合せを定期的に行い、学校区ごとに設置する協議会に参加するなど関係者間の連携を図る。
(2)児童館を活用して実施する放課後児童クラブ
- ○ 児童館の中で放課後児童クラブを実施する場合は、放課後児童クラブに通う子どもの育成支援の環境及び水準が担保されるようにする。
- ○ 児童館に来館する子どもと放課後児童クラブに在籍する子どもが交流できるように、遊びや活動に配慮する。
- ○ 放課後児童クラブの活動は、児童館内に限定することなく近隣の環境を活用する。
第6章 施設及び設備、衛生管理及び安全対策
1.施設及び設備
(1)施設
- ○ 放課後児童クラブには、子どもが安全に安心して過ごし、体調の悪い時等に静養することができる生活の場としての機能と、遊び等の活動拠点としての機能を備えた専用区画が必要である。
- ○ 専用区画の面積は、子ども1人につきおおむね1.65㎡以上を確保することが求められる。
- ○ 室内のレイアウトや装飾、採光等にも配慮し、子どもが心地よく過ごせるように工夫することも求められる。
- ○ 子どもの遊びを豊かにするため、屋外遊びを行う場所を確保することが求められる。その際、学校施設や近隣の児童遊園・公園、児童館等を有効に活用する。
- ○ 子どもの遊び及び生活の場の他に、放課後児童支援員等が事務作業や更衣ができるスペース等も求められる。
(2)設備、備品等
- ○ 衛生及び安全が確保された設備を備え、子どもの所持品を収納するロッカーや子どもの生活に必要な備品、遊びを豊かにするための遊具及び図書を備える。
- ○ 年齢に応じた遊びや活動ができるように空間や設備、備品等を工夫する。
2.衛生管理及び安全対策
(1)衛生管理
- ○ 手洗いやうがいを励行するなど、日常の衛生管理に努める。また、必要な医薬品その他の医療品を備えるとともに、それらの管理を適正に行い、適切に使用する。
- ○ 施設設備やおやつ等の衛生管理を徹底し、食中毒の発生を防止する。
- ○ 感染症の発生状況について情報を収集し、予防に努める。感染症の発生や疑いがある場合は、必要に応じて市町村、保健所等に連絡し、必要な措置を講じて二次感染を防ぐ。
- ○ 感染症や食中毒等の発生時の対応については、市町村や保健所との連携のもと、あらかじめ放課後児童クラブとしての対応方針を定めておくとともに、保護者と共有しておく。
(2)事故やケガの防止と対応
- ○ 日常の遊びや生活の中で起きる事故やケガを防止するために、室内及び屋外の環境の安全性について毎日点検し、必要な補修等を行う。これには、遠足等行事の際の安全点検も含まれる。
- ○ 事故やケガの防止に向けた対策や発生時の対応に関するマニュアルを作成し、マニュアルに沿った訓練又は研修を行い、放課後児童支援員等の間で共有する。
- ○ 放課後児童支援員等は、子どもの年齢や発達の状況を理解して、子どもが自らの安全を守るための行動について学習し、習得できるように援助する。
- ○ おやつの提供に際して、食物アレルギー事故、窒息事故等を防止するため、放課後児童支援員等は応急対応について学んでおく。
- ○ 事故やケガが発生した場合には、速やかに適切な処置を行うとともに、子どもの状況等について速やかに保護者に連絡し、運営主体及び市町村に報告する。
- ○ 放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童支援員等及び子どもに適切な安全教育を行うとともに、発生した事故事例や事故につながりそうな事例の情報を収集し、分析するなどして事故防止に努める。
- ○ 放課後児童クラブの運営主体は、必ず損害賠償保険に加入し、賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行う。また、傷害保険等に加入することも必要である。
(3)防災及び防犯対策
- ○ 放課後児童クラブの運営主体は、市町村との連携のもとに災害等の発生に備えて具体的な計画及びマニュアルを作成し、必要な施設設備を設けるとともに、定期的に(少なくとも年2回以上)訓練を行うなどして迅速に対応できるようにしておく。また、外部からの不審者等の侵入防止のための措置や訓練など不測の事態に備えて必要な対応を図る。
- ○ 市町村や学校等関係機関と連携及び協力を図り、防災や防犯に関する訓練を実施するなど、地域における子どもの安全確保や安全点検に関する情報の共有に努める。
- ○ 災害等が発生した場合には、子どもの安全確保を最優先にし、災害等の状況に応じた適切な対応をとる。
- ○ 災害等が発生した際の対応については、その対応の仕方を事前に定めておくとともに、緊急時の連絡体制を整備して保護者や学校と共有しておく。
(4)来所及び帰宅時の安全確保
- ○ 子どもの来所や帰宅の状況について、必要に応じて保護者や学校と連絡を取り合って安全を確保する。
- ○ 保護者と協力して、地域組織や関係機関等と連携した、安全確保のための見守り活動等の取り組みを行う。
第7章 職場倫理及び事業内容の向上
1.放課後児童クラブの社会的責任と職場倫理
- (1)放課後児童クラブには、社会的信頼を得て育成支援に取り組むことが求められる。また、放課後児童支援員等の言動は子どもや保護者に大きな影響を与えるため、放課後児童支援員等は、仕事を進める上での倫理を自覚して、育成支援の内容の向上に努めなければならない。
- (2)放課後児童クラブの運営主体は、法令を遵守するとともに、次の事項を明文化して、すべての放課後児童支援員等が職場倫理を自覚して職務に当たるように組織的に取り組む。
- ○ 子どもや保護者の人権に十分配慮するとともに、一人ひとりの人格を尊重する。
- ○ 児童虐待等の子どもの心身に有害な影響を与える行為を禁止する。
- ○ 国籍、信条又は社会的な身分による差別的な扱いを禁止する。
- ○ 守秘義務を遵守する。
- ○ 関係法令に基づき個人情報を適切に取り扱い、プライバシーを保護する。
- ○ 保護者に誠実に対応し、信頼関係を構築する。
- ○ 放課後児童支援員等が相互に協力し、研鑽を積みながら、事業内容の向上に努める。
- ○ 事業の社会的責任や公共性を自覚する。
2.要望及び苦情への対応
- (1)要望や苦情を受け付ける窓口を設置し、子どもや保護者等に周知する。
- (2)苦情対応については、市町村と放課後児童クラブの運営主体が連携して、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員の設置や、解決に向けた手順の整理等を行い、その仕組みについて子どもや保護者等にあらかじめ周知する。
- (3)子どもや保護者等からの要望や苦情に対しては、迅速かつ適切に、誠意を持って対応する。
- (4)要望や苦情については、その内容や対応について職員間で共有することにより、事業内容の向上に生かす。
3.事業内容向上への取り組み
(1)職員集団のあり方
- ○ 放課後児童支援員等は、会議の開催や記録の作成等を通じた情報交換や情報共有を図り、事例検討を行うなど相互に協力して自己研鑽に励み、事業内容の向上を目指す職員集団を形成する。
- ○ 放課後児童支援員等は、子どもや保護者を取り巻くさまざまな状況に関心を持ち、育成支援に当たっての課題等について建設的な意見交換を行うことにより、事業内容を向上させるように努める。
(2)研修等
- ○ 放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童支援員等のための職場内での教育訓練や研修のみならず、職場を離れての研修の機会を確保し、その参加を保障する必要がある。
- ○ 放課後児童支援員等は、研修等を通じて、必要な知識及び技能の習得、維持及び向上に努める。
- ○ 放課後児童クラブの運営主体には、職員が自発的、継続的に研修に参加できるように、研修受講計画を策定し、管理するなどの環境を整備していくとともに、職員の自己研鑽、自己啓発への時間的、経済的な支援や情報提供も含めて取り組んでいくことが求められる。
(3)運営内容の評価と改善
- ○ 放課後児童クラブの運営主体は、その運営の内容について自己評価を行い、その結果を公表するように努める。評価を行う際には、子どもや保護者の意見を取り入れて行うことが求められる。
- ○ 評価の結果については、職員間で共有し、改善の方向性を検討して事業内容の向上に生かす。